私の水族館。
私の部屋の窓のそばには江戸金魚鉢が置いてある。
ぐっと近づき床に座布団を敷いて横になると視野いっぱいの群泳が楽しめる。
メダカの子どもたちである。
1cmにも満たない彼らは、しかし見事な泳ぎと食欲を見せる。
藻が作った泡つぶの浮かぶ水面を、石を敷いた水底を、四方八方へと泳ぎ回る。
私はふと、水温が気になって指で計ることにした。
夏である。
煮えていては可哀相だ。
驚かさないように、そっと小指を下ろした。
すると、自分の小指だけが、異次元から突然空間を割って現れた物のように見えた。
緑と透明の世界に不意に割り込んでしまった、肌色の自分の小指。
それは目の前に広がる子メダカの世界には、ひどく場違いな気がした。
そっと指を水面から抜くと、また元の水鏡に戻った。
メダカたちは、相変わりません、と泳いでいる。
水は、温んでいた。
東向き、朝のうち少しの時間しか鉢に陽の光はあたりません。あとは、あわあわとしたやわらかい光が注ぐばかりです。そんなわけで、水温も適温、成長が楽しみなこのごろです。メダカの子どもは、生まれて数日すると教えていないのに餌を食べ始め、なわばり争いも一人前にやります。そのうち持ち場が決まって、おおむね穏やかな時間になります。
"Medaka no youchi-en." "Someday." photo by maya 2008.
(1枚目の左下、ちいさく子メダカが写っています・・・)
by ekotoba
| 2008-07-04 16:57
| エコトバ。
一葉の写真に、生活と自然のことばを添えて届けます。
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